第四十二回秋の茶会

野菊淡秋心  十月二十七日,八事山興正寺「松林庵」において秋の茶会が開催されました。当日は,中京大茶道部の茶会には珍しく晴天に恵まれ,茶庭に吹き抜ける風も心地よい一日になりました。
 秋の茶会では部員手作りの点心が付くことが恒例となっています。点心席,点心を準備する部屋等,部屋数が多く必要となる秋の茶会を,亭主側の動きがとりにくい興正寺「松林庵」で開催するということだったので少し心配していたのですが,点心席の配置等,うまく考えられていました。かつて練習に使った部屋(今でも使っていますが)を点心席にするのは,卒業して興正寺を訪れる機会の少なくなったOBにはうれしい演出です。

 さて,いよいよ本席です。床は不染斎宗匠筆の「野菊淡秋心」(のぎくしゅうしんあわし),花は秋明菊でした。秋明菊(しゅうめいきく)は,秋に菊に似た花を咲かせるのでこの名前がついていますが,実際はキンポウゲ科でアネモネの仲間です。秋本番の風情を感じさせるこの花は,まさに秋の茶会に相応しいといえます。時節柄,点前はお馴染みの長板一つ飾りです。長板一つ飾りとは,風炉の名残の時期に好んで行われる点前で,長板の中央に風炉を据え,細めの水指を勝手付に置いて行います。長板一つ飾りの四つの点前(楽只,原叟,仙叟,三斎)のうち,今回は楽只の点前でした。亭主は二年生にして既にベテランの貫禄,りなちゃんでした。指先まで注意の行き渡った,美しい点前でした。お菓子の「里の秋」は,柿のような朱色をした季節感のあるお菓子で,とても美味しかったです。お運びの一年生も,若竹茶会のころより格段にレベルアップしており,真面目に練習に取り組んでいることがわかりました。

 点心は,すべて部員が力を合わせた手作りです。いろどりも美しく,カブの味噌汁も軟らかく煮られ,とても美味しかったです。昨年はたった三人の部員で,手探りで茶会を開いているという頼りない印象を受けたのですが,今回は部員の人数も増えたこと,二,三年生の仕切りも上手くなったことから,全体的に余裕を感じました。

 席の最後に,部長の引継ぎも行われ,新部長の決意が語られるという演出もあり,新生茶道部の爽やかな再出発を感じさせられ,とても新鮮でした。新部長のさとこちゃんの益々の頑張りに期待します。


        点心席


部員手作りの点心           尾関宗般筆 渓楓 紅以錦


        本席


          不染斎筆 五字一行 野菊淡秋心

花   入      菊籠

          秋明菊

風   炉      棗形

          霰

  風炉先     常什

道具組み 長板一つ飾

水   指      オランダ写 細

茶   器      琉球棗

茶   杓      葆光斎形 銘 錦秋

茶   碗      津島焼 赤

  建水       瀬戸エフゴ

  蓋置       青釉つくね

菓   子      両口屋是清製 里の秋

          鉢


戻る