第四十三回秋の茶会

山呼万歳声  十月二十六日,八事山興正寺「松林庵」において,恒例の"秋の茶会"が開催されました。この数日,冷え込む日が続いていたのですが,当日は晴天に恵まれ,暖かな一日となりました。

 今回はまず,寄付に驚かされました。大きな囲炉裏のある小部屋です。囲炉裏の火を囲み,席入りを待つ…なかなか風情があります。ただ,天候に恵まれた事が災いして,暑い…。昨日までの気温だったら丁度良かったかも知れないですが。受付もわかりづらく,一般のお客様は迷うと思います。受付だけは,やはり入口付近の方がいいのでは。

 さて,いよいよ本席です。最終の第五席,OBだけの席で正客を務めさせていただきました。
 床は大心和尚筆「山呼万歳声」(山は呼ぶ万歳の声)。武帝が山に登り,天下泰平を祈って叫んだところ,全山に「万歳」が木霊したという祝語で,おめでたい席でよく使われます。
 今回は丸卓のお点前です。道具組みは,高取焼の水指に,井伊大老好みの雪吹,葆光斎宗匠の茶杓,※1交跡(コーチ)写の蓋置等,主茶碗は※2峰の紅葉の写しです。
 第五席目の亭主は,三年生のりなちゃんでした。りなちゃんのお点前はお茶会の度に見ていますが,既に貫禄が感じられます。三年間真面目に練習してきた人のお点前は,ここまで洗練されるのですね。さすがは中京大茶道部の中核です。
 お菓子の"山ずと"は,色合いも美しく,中に栗の入った秋らしいお菓子です。お運びの新一年生の初々しい姿も印象的でした。

 続いて点心席です。今回も,点心はすべて部員の手作りです。魚も卵も上手く焼かれていました。つみれの汁は見た目も美しく,とても美味しかったです。部員一同が力を合わせて作っている姿が目に浮かびました。

 席の最後は,昨年と同様,部長の引継ぎです。現部長の引退の挨拶と,新部長の決意が語られました。昨年の就任挨拶からもう一年…。早いものですね。さとこちゃん,りなちゃんお疲れ様。新執行学年の皆さん,頑張って部を盛り上げてください。

 さて,すっかり部員の人数が増え,賑やかになりました。全体的に余裕も感じられるようになりましたが,これで満足せず,細やかな気配りができるよう練習を続けられるといいですね。




※1 交跡焼:交跡(インドシナ)で作られたものではなく,中国南部で,明末〜清初期に焼かれた色釉陶の一種に対する日本での呼称。

※2峰の紅葉:四日市の九鬼家に伝来し,現在は五島美術館蔵。明るい紅の勝った鼠色で,雄大。口辺から斜めに張り出した腰から,一気に高台に向かってすぼまる。胴側面には亀甲紋と檜垣紋が彫り出されている。


        寄付


丸卓に高取の水指           不染斎筆 栗の絵


        本席


          大心老師筆 五字一行 山呼万歳声

花   入      手付籠

          秋明菊

風   炉      棗形

          霰地紋 初合せ

  風炉先     常什

残菊に鶴蒔絵 雪吹,葆光斎形 銘 雁渡し 丸卓 利休形

水   指      高取

茶   器      井伊大老好 残菊に鶴蒔絵 雪吹

茶   杓      葆光斎形 銘 雁渡し

茶   碗      鼠志野 峰の紅葉写し

  建水       黄瀬戸 大脇差し            春二作

  蓋置       交跡写 七宝紋

菓   子      両口屋是清製 山ずと

          銘々


        点心席


          華堂筆 紅葉に雀


寄付   お点前


点心   つみれ汁


戻る