服装について
スーツ着用が望ましいです。学祭茶会は多少くだけてもいいかもしれません。指輪やネックレス等の装飾品は席中で外すので,最初から着用して行かないほうが無難でしょう。匂いの強い香水や整髪剤は避けましょう。
茶会に必要な物
扇子:挨拶や床の拝見の時に使います。
懐紙:練習用の懐紙の他に,自分用のものも買っておいた方がよいでしょう。学生の茶会では,受付で懐紙をくれることが多いですが,本来は自分で持っていくものです。
菓子切:懐紙と同様に黒文字を付けてくれることが多いですが,自分のを持って行きましょう。
ビニール袋:点心の食べ残し等を入れます。点心付きの学生茶会ではだいたい付けてくれますが,一枚位は持っておくとよいでしょう。
白い靴下:寄付で履き替えます。
あると便利な物
帛紗挟み:帛紗や懐紙,菓子切,扇子等をまとめて入れます。買っておくと便利ですよ。
硫酸紙:懐紙にくっつきやすい菓子を乗せます。
袋懐紙:食べ切れなかった菓子を入れて持ち帰ります。
水屋見舞いについて
茶会に招待された客が,気持ちのお礼として持って行く差し入れのこと。1,000円前後の品物を用意します。「和菓子を持っていくことは,『このお菓子を使ってください』という意味になるのでできるだけ避ける」と言われることもありますが,あまり気にしなくていいと思います。数が多く,皆で分けやすいクッキーやプチケーキ等がベストじゃないでしょうか。仲の良い大学や,学祭茶会だと多少遊び心があってもいいかもしれません。本来は席に入る前に水屋に直接届けるものですが,学生茶会だと受付で渡していいです。
呈茶料について
封筒,無ければ懐紙に包み,扇子を6分位開いた上に乗せて出します。これは,本来お金の包みは直接に畳や机に置く事はしないからです。お釣りの無いように。
いよいよ茶会に行く
今回は初心者用ということで薄茶だけの茶会とします。
受付
受付は遅れても早すぎても迷惑になるので,15分前を目安にします。大学名を名乗り,招かれた御礼を言い,芳名録に大学名と名前を記入します。呈茶券と呈茶券代を出し,席次(何席目か書いた券のようなもの)や懐紙等を渡されたらいただいておきます。会記のコピーやパンフをくれる事もあります。「お水屋の方でどうぞ。」と水屋見舞いを渡します。受付で手荷物を預ける場合もあります。
寄付
待合ともいいます。連客が待ち合わせ,亭主の迎付を待つ場所とされています。学生の茶会の場合,ここで靴下を替えたり,受付で手荷物預かりをしない場合,ここに置いていったりします。本席の終了後,雑記帳に感想を記入する場所を兼ねることもあります。
入室したら床を拝見します。会記や道具の箱書きがあることもあります。座る場所はどこでもかまいませんし,足もくずしてOKです。近くの茶席内では点前が進行しているので,大声は控えましょう。
本席
いよいよ席入りです。正式には一人ずつ入り口に座り,一礼してにじり入り,床前で軸や花を拝見し,さらに釜等を拝見してから座に着きますが,大勢の茶会では時間の関係で正式な席入りを省略することもあります。数人で同時に床を拝見したり,ひとまず席に着いて退室時に拝見したりといった方法をとることがあります。場の空気を読んで判断しましょう。
着座は,初心者の場合は点前のよく見える真ん中辺りがいいでしょう。正客の席の前には煙草盆が置いてある場合があります。最初は正客やお詰め(末客)は避けます。しかし,席中で正客を長々と譲り合っているのはみっともないので,ある程度茶会に慣れて,また誰も正客をしたがらなかったら,さっさと学年順に正客から座りましょう。
薄茶席はある程度気軽な席ですが,茶会に関係ない会話は避けましょう。また,ある程度茶会に慣れると席中で茶会の批評をしたり,中途半端な知識をひけらかしたりする人も出てきますがみっともないです。亭主側に道具等の質問がある時は正客を通します。
菓子器が銘々皿だった場合,付いてくる黒文字はどうするか。正式には持ち帰ります。学生の茶会では銘々皿に乗せて返し,正式な茶会では持ち帰るというように区分するより,学生の茶会でも必要だと思ったら持ち帰ればいいと思います。古くは,亭主が自ら黒文字を削ることもあったようで,それは記念として持ち帰る意味があったかもしれませんが,盲目的に何でも持ち帰るのは意味がないかもしれません。
食籠(じきろう:蓋付きの菓子器)の場合,一人ずつ蓋を開け閉めする場合(宗匠練習でしている方法)と蓋だけを先に送る方法がありますが,人数が多い場合,後者の方がよいでしょう。その場合,蓋を裏返して末客まで送ります。
お茶は練習のとおり飲んで下さい。
飲み終わったらお茶碗の拝見をしましょう。自分達が正客だった場合,主茶碗を拝見して送ります。畳の縁の内側,身体の正面に茶碗を置き,手を付いて,まず茶碗全体を眺めます。次に肘を膝に当て,身体を低くして,茶碗を高く持ち上げないように畳に近い位置で両手で持ち,外回りの景色,内側の見込み,高台や高台脇等を拝見します。最後に茶碗を下に置き,名残を惜しみつつもう一度全体の姿を拝見します。
自分達が正客でなく,正客が茶碗を送ってこない場合で,どうしても茶碗を拝見したい時は正客にお願いして送ってもらいます。
数茶碗でも拝見する必要があるか,という話になると,まぁ,普段の練習では茶碗の拝見までなかなかしないと思うので,いい機会ですからしてみましょう。
さて,両器(薄茶器と茶杓)の拝見です。通常,亭主が水指から釜に水を三杯入れ,釜の蓋を閉め,柄杓を蓋置に引き,水指の蓋を閉めたところで拝見を請う挨拶をします。最初のうちは無理に拝見を請わなくてもいいでしょう。学生の茶会では,時間の都合を名目に拝見を断ってしまうことがあります。また半東の最初の挨拶で初めから断ってくることもあります。
本席が終わりました。床や釜等が拝見できなかった場合,亭主側の迷惑にならないよう,時間を見計らって拝見します。席中に扇子等の忘れ物をしないように。
案内された寄付等で雑記帳に感想を記入します。初めてでも,時間と相談して練習のつもりで書いてみましょう。
@招かれた御礼
A本席や,会場の雰囲気についての感想
B自分達の茶会の宣伝
C貴部の益々の発展を〜という定型文
流れはこんな感じです。Aでは,毒にも薬にもならないようなことより,ある程度は思ったことを書いた方が相手校のためになると思います。ただし,丁寧な文面で,失礼のないように。
茶会の批評等は会場を出てからにしましょう。
最後に,受付にお礼を言って帰ります。
さて,せっかく茶道を始めて茶会に行くのです。雰囲気を楽しむのももちろん良いのですが,道具でもお菓子でも,何か一つでも心に刻んで帰りましょう。会記をよく見て,実物と名前を照らし合わせてみましょう。また,お運び等でも,これはいい方法だとか,こうしたら無駄なく動けるのにとか,自分が亭主側に立った時のことを考えられると良いかもしれません。最初はなかなか難しいですが。