梅雨入りしたにもかかわらず,眩しいほどの晴天に恵まれました。
中京大学茶道部にとって久々の城山での茶会ということで,洗心軒について少し記載します。
洗心軒は,名古屋の有力な豪商,高松定一家の別邸で,近代を代表する数寄者・益田鈍翁も滞在しました。その建設には,松尾流9代の半古斎宗匠が携わっていることから,松尾流とも所縁のある建物といえます。
私は第三席に入らせていただきました。同席は,代でいえば一桁代の大先輩,私の2,3代上の先輩方,顧問の安村先生,他大の茶道部の方と,かなりの人数でした。
寄付は2階の広間で,床には淡川康一筆・牧童の絵賛が掛けられていました。故淡川康一先生は,立命館大学,大阪学院大学の教授を歴任した経済学博士で,禅画の研究や著書,そして自らも禅画の大家として知られています。
本席は,9畳の広間・招月庵でした。点心席等でよく使った席です。洗心軒のメインともいえる7畳の松月亭でなくて残念でしたが,3席目が13人もの大所帯で,9畳でも一杯だったことからこの席で正解でしょう。
大先輩達をさしおいて,正客をさせてせていただきました。床は,葆光斎宗匠の力強い一行「松竹青々緑欲流(しょうちくせいせいとしてみどりながれんとほっす)」です。
お菓子は,きよめ餅製の「枇杷の実」。瑞々しさが,本物の枇杷のようでした。
今回のお点前は,紹鴎好みの二重棚を用いました。亭主さんは,大勢のお客の前にもかかわらず,とても落ち着いたお点前でした。
風炉釜は,最近新調したもので,お茶会では初使用です。水指はドイツ土産,茶器は蒟醤(きんま)塗りと,国際色豊かな道具組みでした。
現役学生にとっては,初めて使用する洗心軒でのお茶会で,勝手が違い,戸惑うことも多かったと思いますが,少人数で協力し合い,好感のもてる接客だったと思います。同席の先輩方も,久し振りの洗心軒でのお茶会を心から喜んでいました。ありがとうございました。
名城線環状化で便利になったと改めて感じた一日でした。
寄付
床 淡川康一筆 牧童の絵賛 牛子無牧童
本席
床 葆光斎筆 松竹青々緑欲流
花 入 手付 琉球籠
花 季のもの
風 炉 釜 唐銅 切合
棚 紹鴎好 二重
水 指 ドイツ土産 青釉
茶 器 蒟醤
茶 杓 葆光斎作 銘 清流
茶 碗 刷毛目
建 水 古瀬戸 エフゴ
蓋 置 唐銅 三ツ人形
菓 子 きよめ餅製 枇杷の実
器 銘々